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【Book of Demons】 デッキを作ってダンジョンへ潜るハクスラ系クリッカーアクションRPG

 Book of Demons プラットフォーム PC(Steam)

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レビュー

 90年代のPCゲーム黄金期よもう一度という事で、当時のゲームからインスパイアを受けて作られた本作。現時点ではアーリーアクセスなのでいくつかのコンテンツが未実装ながら本編は最後までプレイ出来るとのことなので遊んでみました。俯瞰視点のハクスラというとDiabloシリーズを思い出しますが、ただのDiabloクローンに収まらずカードによるデッキ構築という独自の要素を取り入れることにより、既存のDiabloクローンとは一線を画すユニークなゲームになっています。

 

全七冊の冒険譚の第一章 

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 全7冊からなる冒険譚『Return 2 Games』(デベロッパー名でもある)。その一つである『Book of Demons』の物語が今作の舞台です。本の中が舞台という事でペーパークラフト風グラフィックになっています。開発の『Return 2 Games』によると今後開発予定である6作もこの冒険譚の一部になるとの事ですが、それぞれ別々のテーマに沿って開発するとも発表しています。今後も90年代PCゲームにインスパイアされた別ジャンルの物が開発されると思われます。

 『Book of Demons』は迷宮地下深くで復活したアークデーモンは倒すために主人公が迷宮に挑むストーリーになっています。俯瞰視点のハクスラがシステムの土台になっていることからもDiabloシリーズ(特に初代Diablo)の影響を受けて作られている印象を受けました。どことなくアークデーモンも恐怖の王ディアブロ様っぽいですね。現時点では戦士のクラスのみ実装されていますが、新クラスとして魔法使いと狩人が今後実装される予定になっています。

 

様々なモンスターの闊歩するダンジョン

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 ダンジョンの中にはこの手のゲームにはおなじみのスケルトン系のモンスターやゾンビ系のモンスター達がうようよ沸いています。時には樽の中から出てきたりなんてこともあるので注意を怠ってはいけません。弓を使って遠距離攻撃してくるスケルトンや、死ぬと同時に爆発し毒をまき散らすゾンビ等その攻撃方法も多彩ですので対処をしっかりしなくてはいつの間にか瀕死になっていることもしばしば。

 クリックもしくはWASDを使っての移動方式ですが、ダンジョン内は自由に移動できるわけではなく前後にしか動けない狭い通路を移動することになります。ですがモンスターはプレイヤーの移動範囲などお構いなしに四方八方から接近してきますので、考えなしに動き回っていると敵に囲まれて袋叩きにあってしまいます。クリックは戦闘時もずっと使い続けることになりますので、思いがけない方向に移動して敵にやられるといったことがないようにWASDによる移動を強くお勧めします。それでも移動に関しての操作性は好みが分かれる所でしょう。

 

クリック!クリック!クリック!の戦い  

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 このゲームの戦闘は非常にシンプルです。敵をクリックするだけです。自分の可視範囲全てが攻撃範囲になりますので、剣では明らかに届かなさそうな所にいようがクリックをすればダメージを与えることができます。ただこのシステム、想像以上に忙しくなります。

 盾を持っている敵がいれば盾をひたすらクリックして盾を壊さなければダメージを与えることはできません。呪文を唱えている敵がいるならば、詠唱中に表示されるルーンをクリックし続け詠唱を妨害しなくてはなりません。詠唱中の敵は無敵状態なので、唱えきる前に倒すことは出来ません。なので妨害しなければ強力な魔法が飛んでくることになります。気絶状態になってしまったのならくるくる回る星を全てクリックしなければ気絶状態から回復することは出来ません。気絶中は無防備なのでもたもたしていると倒されてしまします。

 他にも様々な状況でプレイヤーはクリックをし続けなければいきません。クッキークリッカーに負けず劣らずかなりのクリック量と、FPSさながらの精密なカーソル操作が求められます。

 

装備は無いがカードはある ユニークなデッキ構築システム

 

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 このゲーム、レベルによって上がるものは体力と魔力ぐらいなもので、レベルが上がったからと言って新たな技や魔法を覚えるという事はありません。まだダンジョン内に強力な武器や防具が落ちているといった事もありませんので、装備強化での戦闘力アップも望めません。その代わりの強化システムがカードによるデッキ構築です。

 敵を倒したり宝箱を開けると稀にカードが入手できます。これらのカードはカードスロットに装備することで効果を発揮し、それぞれが様々な効果を持っています。スロットに装備しマナを消費することで強力な攻撃を行える『Spell』、スロットに装備しているだけでパッシブとして効果を発揮するが常にマナを消費しつづける『Artifact』、消耗品の『Item』。この3種類におおまかにカードは分類されます。街に戻って鑑定するまで何のカードかわからない未鑑定カードも存在し、レアなカードは強力な効果を秘めています。最大10スロットまで装備可能になるこのカードを組み合わせて強力なモンスター達に挑んでいく事になります。

「レベルを上げてスペルを覚える」

「より強い装備を入手して自分を強化する」

これらの要素がカードに全てまとまっている。これがこのゲーム最大の特徴と言えるでしょう。

 

 死んだら終わりデアデビルモード

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 本編クリア後のやりこみとしてフリーモードがあります。フリーモードはどこまでも迷宮深く潜り続けるモードで、高難易度では2~5種のカードをランダムで自動的にセットされるのでデッキ構成をよく吟味する必要があります。以前まではこのフリーモードがこのゲームのエンドゲームコンテンツだったのですが、物足りないというプレイヤー達の要望に応えてデアデビルモードが実装されました。

 このデアデビルモードでは、プレイヤーがどれだけ深い階層にたどり着いているのかオンライン上のリーダーズボードに反映されるようになっており、各プレイヤーが競い合うことができます。しかしながら、デアデビルモードでは死んでしまったらキャラクターがデリートされる仕様になっており、一つの操作ミスでそれまでの全てを失ってしまうことになります。Diablo系ハクスラではよく見かけるハードコアモードと同様のモードではありますが、プレイヤーの要望を受けて新機能を実装する開発側の真摯な姿勢が感じ取れますね。

 

終わりに

 Diabloクローンが日々多くリリースされるトレハン系ハクスラ界に独自要素を引っ提げて登場した今作。カードゲームなのかというと正直疑問符がついてしまう所ではありますが、カード入手による楽しみや程よいアクション要素などライトなトレハン系ハクスラとしては良くできていると感じました。クリックが多く少々操作が煩雑になってしまう点やカードの数が少ない(現時点で32種)点等細かい所で気になる点はありました。ですが現時点では未完成のアーリーアクセスでもありますし、次アップデートでは魔法使いが実装されるとアナウンスも出ていますので新カードも多く実装されるのではないのかなぁなどと期待しています。正式リリースが待ち遠しい作品の一つです。